大崎梢『サイン会はいかが?』
サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ (ミステリ・フロンティア)
- 作者: 大崎梢
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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いずれも舞台は語り手の杏子の務める成風堂で、起こった事件も書店がらみのものということで、『シリーズ設定を忠実に踏襲している。第三弾となる本書では杏子と探偵役の多絵のみならず、他の書店メンバーたちの描写も多くなり、舞台の存在感を大いに増している。また、内輪受けしそうな設定を用いながらも作品自体は決して独りよがりな志向を押し付けることのない仕上がりになっており、好感が持てる。読者を意識してのことであろう。作者は元書店員ということであるが、同様にお客のことを意識できた素晴らしい書店員だったのではなかろうか。
東野圭吾『レイクサイド』
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/02/10
- メディア: 文庫
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犯行隠蔽を軸としたメインストーリーは事件の勃発から思わぬ方向に転がっていく中盤、そして衝撃のラストで結ばれるという形で、コンパクトかつ綺麗にまとまっている。加えて昨今のお受験問題とそれに絡む親子関係といった要素がこのメインストーリーに肉付けされており、本書を単純なサスペンスノベルでは終わらせていない。読む前から作品に高水準を求められる人気作家ではあるが、本書はその期待にしっかり答えてくれている。なお、読後の第一印象を限りなくネタバレっぽく表現するなら、「オリエント急行かと思ったらYの悲劇だった」である。
陳舜臣『山河太平記』
石持浅海『君がいなくても平気』
- 作者: 石持浅海
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/12/17
- メディア: 新書
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自分の保身のために恋人を捨てようとする、という点がいかにも石持浅海っぽい倫理観だ、という形式での批判が浮かびそうではある。それを貫いてストーリーを進めていけば、石持らしい特殊形式でのミステリということで従来通りの作者評を得られてことであろう。しかし実際はそうはならず、案外陳腐な地点に着地する。ファンにとっては肩透かしの感が生じるのは否めない。また、そこから先が作品の肝であるとはいえ、犯人指摘に至る過程が極めてルーズである。そして肝心の先の展開が先述したとおりだ。ミステリ的にはフーダニットよりもホワイダニットであるのだが、後者の部分での驚きも少なく、結果、全体を通してひどく平板な印象になってしまった。
宮部みゆき『本所深川ふしぎ草紙』
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1995/08/30
- メディア: 文庫
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西尾維新『不気味で素朴な囲われた世界』
- 作者: 西尾維新,TAGRO
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/10/10
- メディア: 新書
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なお、本書は犯人探しのミステリである。そして本書には「口にする言葉がすべて嘘」というキャラと「他人の嘘を見破ることができる」キャラが登場する。しかし彼女ら二人を絡めた論理パズルを形成するのかと思ったらそんなことありませんでした。
柳広司『黄金の灰』
- 作者: 柳広司
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/11/30
- メディア: 文庫
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