石持浅海『君がいなくても平気』
- 作者: 石持浅海
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/12/17
- メディア: 新書
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自分の保身のために恋人を捨てようとする、という点がいかにも石持浅海っぽい倫理観だ、という形式での批判が浮かびそうではある。それを貫いてストーリーを進めていけば、石持らしい特殊形式でのミステリということで従来通りの作者評を得られてことであろう。しかし実際はそうはならず、案外陳腐な地点に着地する。ファンにとっては肩透かしの感が生じるのは否めない。また、そこから先が作品の肝であるとはいえ、犯人指摘に至る過程が極めてルーズである。そして肝心の先の展開が先述したとおりだ。ミステリ的にはフーダニットよりもホワイダニットであるのだが、後者の部分での驚きも少なく、結果、全体を通してひどく平板な印象になってしまった。