つながりの変遷――ブログによるコミュニケーション

 現代日本文学を代表する存在として村上春樹がいるが、彼はテーマのひとつとして人との「つながり」を電話というツールを用いて頻繁に表現している。見えない相手と声のみでつながるコミュニケーション――非常に現代的だ。時代はさらに進歩し固定電話から携帯電話が登場、家族で1台のコミュニケーションツールは一人で1台のものとなる。そこには関係の薄い他者には閉じられてはいるが、特定の相手にだけは開けた世界が生まれる。


 ブログというのも新しいコミュニケーションツールで、そこに生じるつながりとは携帯同様特定の相手にだけ開けている。ただし、携帯における「特定の相手」とは主にリアル社会での相手であるのに対し、ブログによるコメント、あるいはトラックバックというのはリアル社会でのつながりは重視されない。ここでの「特定の相手」とは主に自分が興味を持つ話題の提供者を意味し、そんな相手と容易にコミュニケーションをとることができる。


 で、何が言いたいかというとid:architectさんから「Reading Baton」なるものを受けとった。この手の遊びに対してよく思わない人もいるみたいだけど、このような趣向が成立するのもブログならではのこと。実生活ではなんら面識のないarchitectさんが私の読書遍歴に興味をいだいてバトンを送ることにより、私とのつながりが生じる。新しいコミュニケーションツールによる新しい出会いの形。うれしいことではないか。


 私のところは毎日更新しながらもほとんどコメントもトラックバックもつかない味気ないブログなんで、この手の企画が廻ってくるのは想定外だった。なので、ちと考えてから回答しますです。