古処誠二『メフェナーボウンのつどう道』

メフェナーボウンのつどう道

メフェナーボウンのつどう道

 2008年1月購入。2年9ヶ月の放置。大戦末期、敗色濃厚となったビルマでの撤退行を描いた作品。焦点を兵士に絞るのではなく、従軍する看護婦にしているのが特徴。その行軍の際に出会う負傷兵・在留邦人・慰安婦・インド兵・現地人といった立場の異なる様々な人々の姿が、看護兵・静子の視点で語られ、そしてそのことにより、語り手自身あるいは語り手と同じ従軍看護婦の立場というものが浮かび上がってきている。良作であるといえるが、古処誠二の一連の戦争ものの中では地味な部類にある。