野村美月『”文学少女”と神に臨む作家』上下

 「”文学少女”」の完結篇。本書以前は一貫して井上心葉の心の傷や彼が遭遇した事件を天野遠子が解決していく、というスタイルだったのに対し、この完結篇では遠子抱えた問題を心葉が解決するというストーリー展開になっており、二人の立場は逆転している。シリーズ中、終始守られる立場であった心葉は本書においてついに守る側に回ることになり、彼の成長の軌跡を見守る物語としては妥当な着地点にたどり着いたといえる。無論その過程においては色々と問題点もあるし、ご都合主義的な展開も多々見られる。とはいえ”文学少女”の物語としては結構な大団円である。でもななせちゃんはかませすぎでかわいそうです><