2006年9月購入。4年の放置。
御手洗潔ものの中編二篇を収録。表題作はUFOを見た、という老女の証言と、その近くで起きた殺人事件をめぐるストーリー。派手な謎をぶちあげた後にきっちりと解体していく、いわゆる
島田荘司系奇想ミステリのお手本のような作品。もう一篇「傘を折る女」は九マイル型のミステリと思わせておきながら、そこからさらに風呂敷を広げていく形の話。こちらは派手さよりもストーリの広げ方、切り込み方で
ケレン味を見せていくタイプの作りだ。どちらにも同種のネタを用いた殺害トリックが使われているが、その用い方で違いを演出しており、ネタの使い回しだと安易に指摘するよりもむしろ作者による作劇法の広さに感心した。