古龍『マーベラス・ツインズ契3 いつわりの仮面』

マーベラス・ツインズ契 (3)いつわりの仮面 (GAMECITY文庫)

マーベラス・ツインズ契 (3)いつわりの仮面 (GAMECITY文庫)

 2008年10月購入。1年10ヶ月の放置。今巻から小魚児と花無缺の関係に変化が。二人が敵同士であることに変わりはない。花無缺は師の命に従い、理由もわからぬまま小魚児をその手で殺そうとする。その結果、三ヶ月後に果し合いをすることととなった。二人の関係はここまでは一緒だ。だが、お互い相手に好意を抱いてしまった。結果、果し合いまで三ヶ月間、二人は友人として過ごすこととなった。「十大悪人」に育てられた小魚児が悪と最も遠い存在ともいえる花無缺に憧れることと、そしてバカが付くほど生真面目な花無缺が自由奔放な生き方をする小魚児に好感を持つことは表裏の関係にある。これ以降、二人が互いに無いものを相手から学んでいく、という成長を描く展開となる。特にこれまでは小魚児の敵役というポジションにいた花無缺についても内面描写が増えてきており、より魅力の感じられる人物に感じられる。
 また、燕南天をめぐるエピソードはミステリ仕立てになっており、ミスリードによる意外な展開が待ち受けている。こちらも読み応えあり。主要登場人物の関係が一気に動いた一冊。