古龍『マーベラス・ツインズ契2 めぐり逢い』

マーベラス・ツインズ契 (2)めぐり逢い (GAMECITY文庫)

マーベラス・ツインズ契 (2)めぐり逢い (GAMECITY文庫)

 2008年8月購入。2年の放置。奸策を用いて江湖に確固たる地位を築き上げた江別鶴の化けの皮を剥がそうとする小魚児。だが、彼の巡らした策は、花無缺の登場で頓挫する。一方、育ての親である「十大悪人」たちが悪人谷を離れ、彼の前に姿を現すのだった。
 善悪正邪、という価値観に対して無頓着であった小魚児だが、花無缺を知り、そして今「十大悪人」たちの所業を改めて目の当たりにし、その価値観が大いに揺らぐ、というのが今巻の肝である。武侠小説の「侠」を意識することにより、精神的成長が促される――展開的には王道で、読者にとっては長い付き合いとなる長編の主人公にもより肩入れしやすくなる。
 さらにはラストで花無缺との関係にも変化が見られる。巻を増すにつれ続きが気になるシリーズだ。