古龍『マーベラス・ツインズ3 双子の運命』

マーベラス・ツインズ (3)双子の運命 (GAME CITY文庫 こ 2-3)

マーベラス・ツインズ (3)双子の運命 (GAME CITY文庫 こ 2-3)

 2008年4月購入。2年4ヶ月の放置。前巻からの流れから一旦はずれて、小魚児の過去篇となる。彼の好敵手である花無缺との関係は相当勘の悪い読者であっても容易に推察可能なもので、ここで明確にされたところで驚きという点ではたいしたことはない。だからといって今巻が退屈というわけではない。小魚児と花無缺の因縁の詳細は読みどころたっぷりである。
 また、本書の主役は生まれたてで登場する小魚児よりも、彼を守護する大侠・燕南天であるといってよい。特に後半、燕南天を危地に陥れる狡猾な「十大悪人」たちの奸策の数々。この英雄VS悪人という対決の構図はベタながら胸が踊る。
 本書で過去が詳細に語られることにより物語世界は厚みを増した。今後の展開を一層期待させてくれる一冊だ。