飛鳥部勝則『レオナルドの沈黙』

 2004年8月購入。6年の放置。降霊会の最中、霊媒師が殺人予告をした。殺害対象は遠く離れた場所におり、実行は不可能である。ところが予告どおりに相手は首吊り自殺をしていた。常識ではありえない遠隔殺人で、現場は密室状態であった。
 用意された謎はオカルトめいた道具立てに彩られている。また、作中に名探偵談義を織り込んだりとミステリ的ハッタリは抜群である。やや偶然に頼りすぎなところがあるとはいえ、着地点も悪くない。最後に一捻りもあり、奇想系の本格ミステリが好みという読者にはストライクな作品といえる。