樋口有介『誰もわたしを愛さない』
- 作者: 樋口有介
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/09/11
- メディア: 文庫
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例によってモテまくる、という信頼と安心の柚木クオリティーは本書でも健在である。中でもツンデレメガネ美女の新担当・小高直海の存在が光る。意固地な彼女とそれをうまくいなす柚木のやりとりだけでも十分に楽しめる。事件の顛末や女性たちとのやりとりといった筋立ては樋口テンプレどおりで目新しさはない。だが、本シリーズの醍醐味をそこに求めるべきではない。むしろそういった柚木と女性たちのテンプレどおりのやりとりを楽しんでこそのシリーズだ。特に、本書に限らずシリーズ通して見られる何気ない洒脱な会話に過ぎないと思っていたところから事件の本質に迫ることを聞き出すという、その会話の妙は見事である。