大倉崇裕『白戸修の事件簿』
- 作者: 大倉崇裕
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2005/06
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (34件) を見る
友情だったりちょっとした恩義に報いるためだったり、乗りかかった船だったりと原因は様々だが白戸はズブズブとトラブルにはまっていく。その過程で見られるスリや万引きの手口の多彩さは読みどころの一つである。それのみならず、これらのトラブルは二転三転し意外な結末を見せるのでミステリ的な面白みも十分に備えている。各短編によって白戸自身が真相を暴く探偵役だったり、ただ単に事件に振り回されて終わったりと立ち位置が安定しないため、過度にキャラクターに肩入れする読み方をすると肩透かしに終わってしまう話があるものの、それは些細な欠点でしかない。総体的に良質な短編集といえる。