辻真先『改訂・受験殺人事件』
- 作者: 辻真先
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/08/11
- メディア: 文庫
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ポテトとスーパー、それぞれが交互に手記を書くことにより、二つの視点で物語は進んでいく。それは推理合戦のごとく進行していき、やがて二人はそれぞれ別々の犯人を推測する、という展開で読者を飽きさせない趣向となっている。加えて用意されたイベントはサクサクと消化され、非常にテンポよく読み進められる。また、冒頭に犯人よる「探偵役の二人は犯人の指摘を誤った」という、まことに挑発的な手記が提示されており、これが最後の最後まで読者の興味を惹きつける要因となっている。その種明かしは現在の本格ミステリ的視点で見るとさほど珍しいものではないのだが、作者らしい稚気にあふれたものとなっている。