近藤史恵『演じられた白い夜』
- 作者: 近藤史恵
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2008/08/20
- メディア: 単行本
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登場人物たちが実際に暮らす現実と、役者として演じる舞台、二つの世界で起こる事件の犯人や真相そして両者がどう交わるのか。こういった純ミステリ的興味でもって読者を牽引していく一方で、早い段階で主人公麻子とその夫の関係に通常ならざるものを匂わせて、登場人物たちに対する興味という別方向からも読者をひきつけていく。こうしたわかりやすい餌の撒き方に加え、現実パートと劇中パートが交互に展開される構造もきわめてシンプルで、読者に対して非常に親切な作りとなっている。これは一面、親切すぎて単調であり、メリハリに乏しいともいえる。それゆえか、事件の顛末や人間関係の収束の仕方等、取り立てて不備はないのだが、印象が薄くなってしまっている。