石持浅海『ガーディアン』

ガーディアン (カッパ・ノベルス)

　２００８年８月購入。１年１ヶ月の放置。勅使河原冴は不可思議な存在に身を守られている。彼女に対して悪意や害意をもって臨んだ者たちはすべからくそれに撃退される。冴はその存在を幼い頃に亡くした父親の守護霊だと思っており、そしてその「父親」をガーディアンと呼んでいた。
　本書は二章仕立てとなっている。「勅使河原冴の章」では会社のプロジェクトとで一緒に仕事をすることになった仲間たちの一人が、明らかにガーディアンの仕業と思われる状況で殺された事件を扱ったフーダニットに主眼をおいた構成となっている。
　続く「栗原円の章」では結婚した冴の娘が主役となる。それともないガーディアンも守護対象を冴から円へと移行している。その円が強盗による現金強奪事件に巻き込まれるのだが、ガーディアンの助力を得て危機を回避しようとする、という話。
　前者がガーディアンの存在及び発動条件を前提条件に組み入れたロジックが作品のキモになっているのに対し、後者ではガーディアンとともに危機を乗り越えていくサスペンス風味が濃い。ガーディアンという設定を二つの章でそれぞれ異なった切り口で料理しており、それぞれが別種の味わいがあり、また、作者自ら設けたこの設定を十全に活かしたストーリーとなっているといえる。