内田康夫『ぼくが探偵だった夏』

ぼくが探偵だった夏 (ミステリーランド)

ぼくが探偵だった夏 (ミステリーランド)

 2009年8月購入。1ヶ月の放置。探偵・浅見光彦が小学生時代に遭遇した事件。避暑で訪れた軽井沢の別荘で女性が行方不明になった事件を聞いた光彦は、友人と共に失踪現場を訪れる。そこで彼らは怪しげな男が穴を掘り、何かを埋めようとしているのを目撃する。光彦は埋められたものは死体ではないか、と推理するのだが、それ以降彼の周囲に不穏な空気が……
 謎の提示とその解決というオーソドックスな構造、中盤で生じるサスペンス、背伸びする少年とそれを見守る大人というジュブナイルものの王道パターン。こういった要素がバランスよく配合されており、安心して読める1冊。とはいえ、最大の読みどころはやはり、あの浅見光彦の少年時代を描いている、という点に尽きると思う。不勉強な身であるゆえ、当シリーズはあいにくと未読であるため、その一番おいしい部分を味わうことができなかったが、ファンであれば十分に堪能できることであろう。