鯨統一郎『親鸞の不在証明』

親鸞の不在証明 (ノン・ノベル)

親鸞の不在証明 (ノン・ノベル)

 2006年9月購入。およそ3年の放置。一応本書はシリーズものであり、そのシリーズ内の主役として六郎太と静というコンビが存在する。しかし、メインストーリーは二人そっちのけで進む。物語及び事件の中心人物として探偵役を務めるのは蓮如上人だ。とある豪農のもとに婿入りした男が遭遇した殺人事件と、死んでしまったという彼の嫁である葵の前夫の秘密を蓮如が解決する、というストーリーはオーソドックスで、鯨作品としては物足りないかもしれない。最後にもうひとつサプライズがあり、それなりに楽しめる歴史ミステリではあるものの、作者買いした読者にしてみればバカミス度も低く、肩透かしの感が否めない。