大倉崇裕『警官倶楽部』
- 作者: 大倉崇裕
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2007/02/09
- メディア: 新書
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大金をめぐり暴力的な男どもが複雑に絡み合うというプロットは馳星周を思わせるが、本書では馳星周作品であれば不可欠であるノワール臭が微塵もしない。また、軽妙なノリは伊坂幸太郎、特に『陽気なギャングが地球を回す』あたりを連想させるが、やはり伊坂特有のオサレ臭とは無縁だ。大倉崇裕は前二者のような一目ではっきりとわかる激烈な個性のある作家とはいえない。とはいえ二転三転するプロットを丹念に作り上げ、しっかりと伏線を張り巡らせ、サスペンスフルでありかつユーモアも忘れないという本書の出来はなかなかのもの。作者の力量を十分に発揮した良作であるといえよう。