辻真先『仮題・中学殺人事件』

仮題・中学殺人事件 (創元推理文庫)

仮題・中学殺人事件 (創元推理文庫)

 2004年4月購入。5年2ヶ月の放置。冒頭で言及されているように、「読者が犯人」のミステリである。ミステリにおける仕掛けが複雑に発展した現代的視点で眺めると構成はシンプルで、趣向それ自体に衝撃を覚えることは少ない。また、作中に登場する風俗や文体も時代の風化を感じざるを得ない。だが、余計な味付けのないシンプルさゆえに胃もたれすることなく読める。なお、探偵役は『完全恋愛』の作者・牧薩次である。近年の話題作で作者に興味をもたれた読者は読まれるとよいでしょう。