東川篤哉『殺意は必ず三度ある』

殺意は必ず三度ある (ジョイ・ノベルス)

殺意は必ず三度ある (ジョイ・ノベルス)

 2006年5月購入。3年1ヶ月の放置。鯉ヶ窪学園で起こった野球ベース盗難事件が発生、続いて野球部の練習試合中に監督の死体が発見される。死体の脇にはグローブとボール、そした盗まれたベースが置かれていた。練習試合を観戦中だった鯉ヶ窪学園探偵部の面々は事件解決に乗り出す……
 全編にわたって野球というモチーフを前面に押し出しており、おそらくこのモチーフありきの作品として構想されたのであろう。ミステリ的意匠をモチーフに強引にでも関連付けようといった印象がぬぐいきれない。特に見立て殺人がらみの演出はミステリとしてきっちり消化し切れてないように思える。もっとも、作者特有のユーモアセンスは健在で、東川節を味わいたい向きの読者には相応に楽しめるであろう作品。