レイ・ブラッドベリ『メランコリイの妙薬』

メランコリイの妙薬 (異色作家短篇集)

メランコリイの妙薬 (異色作家短篇集)

 2006年10月購入。2年7ヶ月の放置。ブラッドベリ作品最大の読みどころは、冒頭の「穏やかな一日」のような、その叙情的な文体にこそある。したがって淡々とした展開の物語を愛でるようにゆっくりと味わい読み進めていくのがもっとも楽しめるであろう。だが、本書に収められた短編には「誰も降りなかった町」のようなミステリ的設定でサスペンスに満ちたものや、「四旬節の最初の夜」のようなユーモア小説など、別の側面を見せてくれる作品もあり、多方面で楽しめる短編集となっている。