泡坂妻夫『奇跡の男』

奇跡の男

奇跡の男

 多数の死者を出したバスの転落事故の唯一の生存者が、宝くじで大金を的中させた。奇跡の男として世間で話題になった男にスポット当てた表題作は、作者の有名短編で登場した逆接のロジックが裏返しにしたような形で用いられている。いうなれば、逆説の逆説だ。この作品を筆頭に、切れのあるロジックやロジックを、飄々としたユーモアを交えつつ描いた短編五編を収録。本書を読んだのは作者逝去の知らせを聞いた直後でした。謹んでご冥福を申し上げます。