加納朋子『モノレールねこ』

モノレールねこ

モノレールねこ

 2006年11月購入。2年5ヶ月の放置。表題作は、モノレールねこと名づけられた猫を通じてまだ見ぬ友人と文通する話。ラストに思わぬ仕掛けがあるものの、ミステリ読みにとっては想定内のもので、純ミステリ的にはさほど驚きはない。とはいえ趣向そのものはストーリーに適度なアクセントを与えており、物語り全体のまとまりはよい。他作品も短いながらも巧く構成され、かつ読後感も心地よいものが多く、安心して読める短編集といえる。しかし、とある理由である日突然母親がギャグを飛ばしまくるようになる話「バルタン最期の日」で見せる母親のギャグセンスはないでしょう。「おてーもやーん」って……