鯨統一郎『白骨の語り部 作家六波羅一輝の推理』

 2006年3月購入。1年10ヶ月の放置。新作執筆の取材のため、編集者とともに遠野を訪れた作家の六波羅一輝は、散策の途中に白骨死体を発見する。山中に迷い込んだ一輝たちだがどうにか発見した屋敷で事態を警察へ通報することが出来た。同時に、その屋敷の次女が行方不明になっていることも知る。やがて捜査が始まり白骨死体は死後一年は経過しており、次女の失踪は数日前であることが判明する。にもかかわらず、両者が同一人物である疑惑が……
 田舎の旧家を舞台とした殺人事件ということで、オーソドックスな横溝型日本ミステリ的展開を見せる。いつもの鯨らしいB級バカミスっぽさはなりを潜めているものの、遠野という舞台から得た素材を料理していく器用さはいかにも鯨らしい。提示された謎も魅力的で、解決も捻りのきいたもので、無難に楽しめる一冊。その分、鯨クオリティは不足気味。