はやみねかおる『魔女の隠れ里』

 2008年1月購入。1年の放置。二部構成になっているが、実質的に独立した短編二本立てといってよい。第一部の「消える足跡と幽霊のシュプール」は、スキー場を舞台としており、藪に向かって残された足跡と、木を挟んで左右に分かれたスキー跡、二つの謎を扱った小品。第二部の「魔女の隠れ里」は、夢水一向が招かれた山荘で行われた推理ゲームのさなかに起きた不可思議な出来事――送り主のわからない人数分のマネキンと付随する犯行予告や空飛ぶ魔女など――とその裏にある予想外の事実を描いた作品。いずれもシンプルでありながら捻りのきいた素直なミステリらしいミステリで、相変わらず安心して読めるシリーズ作品だ。