町田康『耳そぎ饅頭』

耳そぎ饅頭 (講談社文庫)

耳そぎ饅頭 (講談社文庫)

 2005年1月購入。3年10ヶ月の放置。いわゆる俗人が好むグルメ、レジャーに対して偏屈なスタンスで嫌って見せながら、なんやかんやでそれらのグルメ・レジャーを体験。結果、このような俗人の好むものも悪くないじゃん、という態度を示す――おおよそこのようなパターンで記されたエッセイ集。頑固で偏屈な精神がポピュラーなものに屈する、という自虐的な内容は、ともすれば陳腐なものに堕する恐れがあるのだが、町田の語り口がこのパターンにものすごくハマっており、実に楽しく読める。