恩田陸『図書室の海』

図書室の海 (新潮文庫)

図書室の海 (新潮文庫)

 2005年6月購入。3年5ヶ月の放置。ラストのオチや構成美といったものではなく、いかにもこの作者らしい作品全体に漂う空気に味わいがある短編十編を収録。怪談調のSFからモダン・ホラー風味の吸血鬼譚、果ては一長編の何の変哲もない序章といったバラエティに富んだ話がそろっているが、これらに共通するノスタルジックな雰囲気こそ恩田の真骨頂で、ファンのみならず、恩田作品を初めて手に取るという読者にも安心して読める一品。