樋口有介『月への梯子』
- 作者: 樋口有介
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (22件) を見る
樋口版『アルジャーノンに花束を』ともいうべき作品で、展開及び結末は元ネタからある程度想定されるものだ。にもかかわらず、読者の興味を決して失わせることなく読ませる作者の筆致はさすが。事故後のボクさんの女性の扱い方が急激に達者なものになってるあたりは、いかにも樋口作品といった趣で、これを単純に「ねーよwww」と笑殺するよりもむしろ「キタコレ!」と歓迎するのがファンの読み方でしょう。テーマから必然的に生じるなんともいえない悲哀に身をゆだねて読み進めていくべし。