桜庭一樹『GOSICKs2 夏から遠ざかる列車』

 2006年5月購入。2年3ヶ月の放置。シリーズ短編集の二作目であり、短いスパンの中で起きたささやかな事件を時系列順に並べるという構成は一作目と同様である。本書で扱っているのは夏休み中に起きた出来事で、帰省中のアブリルが手紙で提示したものや、セシルの過去に関係するもの、一弥の姉の話など、事件に関わる人物は多岐にわたる。中でも一弥の姉・瑠璃はこの作者らしい女性らしい快活さを持ち合わせており、初登場でありながら存在感を十分に示したといえる。そしてその瑠璃の出てくる短編ともう一編、グレヴィール・ド・ブロワの出てくる話は「報われない恋の相手を見守る男」の格好良さが出ており、好短編に仕上がっている。