ボリス・アクーニン『リヴァイアサン号殺人事件』

リヴァイアサン号殺人事件―ファンドーリンの捜査ファイル

リヴァイアサン号殺人事件―ファンドーリンの捜査ファイル

 2007年3月購入。1年3ヶ月の放置。19世紀末のパリ、大富豪の邸宅で主人と使用人全員が殺害された。現場には遺留品として記章が残されており、どうやらその記章は豪華客船「リヴァイアサン号」の一等船客と上級航海士のみに与えられたものらしい。記章を持たざるものこそが犯人、そう目星をつけた警部は満員の「リヴァイアサン号」へと乗り込み、乗客に接触を図るのだった。
 以上のようなスマートな手際で航海途中の船という閉鎖空間および限られた容疑者を用意し、しかも、その舞台でさらなる殺人事件を発生させる。記章を持たないあからさまに怪しい容疑者や、事件の背後に見え隠れする消えた秘宝の存在、そして真打たる名探偵の登場と、ガチガチな推理小説としての要素・構造を有しており、当該ジャンルの偏愛者であればぜひとも読むべきでしょう。