はやみねかおる『消える総生島』

 2007年7月購入。10ヶ月の放置。万能財団が製作する映画ロケに招待された岩崎三姉妹。ロケ先の島には鬼の伝説が伝わっており、その伝説に符合するような事件が発生する。島の目印になっていた山が消え失せ、映画スタッフが一人いなくなる。一晩明けて、消失したスタッフは姿を現すが、彼いわく消えていたのは他のメンバー全員で、しかも館まで消失していた、と。この奇妙な消失事件を名探偵夢水清志郎が解き明かす。
 壮大で派手なトリックによって現出した魅力的な謎とその解明はシンプルで、ひねたミステリ読みには物足りないかもしれないが、本格ミステリとしての肝をきっちりと押さえているので読み心地はすっきりしている。安心して読めるシリーズだ。