西澤保彦『ソフトタッチ・オペレーション』
- 作者: 西澤保彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/11/08
- メディア: 新書
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本シリーズの基本構造は超能力がらみの事件を探偵役の保科匡緒が解決する、というものだが、シリーズが進むにつれてこの構造が変化していった。超能力がらみの事件そのものがクローズアップされ、保科自身がほとんど登場しないケースが出てきたのだ。また、人物関係ということに関しては、当初が保科と「チョーモンイン」の神麻嗣子、女性警部の能解匡緒の3人がメインであったのが、後に保科の別れた妻や別のチョーモンインメンバーが加わるなど、保科の周囲を彩る女性陣が豊富になっていった。このシリーズ進行によって見られた傾向が、本書においてはさほど見られない。5つの短編の推理パートはほとんどが保科と神麻嗣子二人のからみで構成されている。中には、保科自身が遭遇した過去の事件も扱われたりする。したがって多彩な女性キャラクターに注目して読んでいた読者には物足りないかもしれない。