永井するみ『カカオ80%の夏』

カカオ80%の夏 (ミステリーYA!)

カカオ80%の夏 (ミステリーYA!)

 2007年4月購入。10ヶ月の放置。語り手は17歳の女子高生・三浦凪。書置きを残していなくなった彼女の同級生・雪絵を探す話なのだが、彼女は雪絵とさほど親しいわけではない。たまたま失踪する前に一緒に買い物に行っただけだ。また、捜索に当たっては雪絵の見ていたブログの履歴を利用してブログ主と連絡を取ったりする。その過程で知り合った二人の女性モデルをやってるミリとお嬢様の紀穂子とはメールを通じてすぐに仲良くなれた。実際に顔を合わすリア友のプライベートはよく知らなくても、メール越しのネッ友とはすぐにうち解けるという、距離間の取り方が非常に現代的だ。そしてそのような距離感の取り方でありながら、リア友のことを真剣に心配し、探し回る凪のあり方には好感が持てる。青春もの・友情ものの佳作といえる。ただし、よく知らないブログ読者と簡単に連絡を取り合う二人の女性には物語的ご都合主義が過ぎる気がしないでもない。