町田康『実録・外道の条件』

実録・外道の条件 (角川文庫)

実録・外道の条件 (角川文庫)

 2004年12月購入。3年2ヶ月の放置。なにやら要領を得ない内容の依頼を受けたがために、理不尽な扱いを受ける破目になる「ファッションの引導鐘」。胡散臭いエージェントの面々につきまとわれる「ロックの泥水」。ファックスでの仕事の依頼のやりとりが不十分なため、いらぬ気を回し、回しすぎた挙句おかしな妄想が浮かんでしまう「地獄のボランティア」。行きたくもないニューヨーク取材に行かされ、同行したスタッフに振り回される「紐育外道の小鳥」の4編。おそらくミュージシャンであり作家でもある作者が経験したことを思い切りデフォルメし、スラップスティック風にアレンジしたものと思われる。芥川賞受賞後第1作にかような「実録」ものをもってくるあたりに作者の稚気やセンスを感じる。