谷川流『涼宮ハルヒの分裂』

涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)

 ハルヒシリーズといえば時間SF的ガジェットを用いたストーリーがしばしば展開されるのだが、これまでのシリーズにおける時間の流れの軸はあくまでひとつで、そのひとつの軸の上で過去―現在―未来を行き来していた。しかし、本書ではこの軸が二つに別れ、それぞれの軸での物語が展開していくことになる。ガジェットレベルにおいて作品世界が広がりをみせたという意味で本書、及び次巻以降の展開は非常に興味深い。
 また、本書ではハルヒチームのライバル的存在が登場するのだが、ハルヒ長門、みくる、古泉にはそれぞれ対になるライバルキャラクターが登場したのに対し、キョンに相当するポジションのキャラクターが登場していない。この点が次巻の展開に影響を及ぼしそうだ。