栗本薫『グイン・サーガ118 クリスタルの再会』

クリスタルの再会 (ハヤカワ文庫JA ク1-118 グイン・サーガ118)

クリスタルの再会 (ハヤカワ文庫JA ク1-118 グイン・サーガ118)

 前巻までダラダラと続いたタイス編が終了するや、一気に展開が動き出した。別離と再会が相次ぐ今巻は、いかにも本筋に戻ってきたという趣きでシリーズ読者としてはそれなりに納得の出来る話となっている。クリスタル入り目前にしてのマリウスの心情とか、イシュトヴァーンの過去の恋人を前にしたフロリーの戸惑いとか、相変わらずのうざったい面があるにせよ、物語の進展を間違いなく感じられる、という一点において本書を評価したい。次巻以降もそれなりのテンポを望む次第。