鯨統一郎『ルビアンの秘密』

ルビアンの秘密 (ミステリーYA!)

ルビアンの秘密 (ミステリーYA!)

 2007年6月購入。5ヶ月の放置。植物学者の父が死に際に残した言葉「ルビアン」の意味を巡るミステリー。主人公は17歳の少女・北元レイ。両親は離婚しており、彼女はその父母ともに嫌っていた。父の死の真相を探る中で見えてくる両親の思い、特に「ルビアン」という言葉に込められた意味などは思春期の少女を主人公にした作品としては非常によくできているといえる。
 ただし、このまっとうすぎる作品の仕上がり具合は鯨作品としてはまったく物足りない。そもそも鯨作品の魅力といえば、脱力系のバカっぽさ・B級感あってこそのもので本書自体はそういった鯨クオリティがスポイルされているのだ。レーベルを意識した作品としては悪くないのだが、期待していたものは異なっていたのが残念だ。