古龍『陸小鳳伝奇二 繍花大盗』

繍花大盗 陸小鳳伝奇シリーズ 2

繍花大盗 陸小鳳伝奇シリーズ 2

 2006年5月購入。1年5ヶ月の放置。突如として江湖に出現した盗賊・繍花大盗。かの盗賊は盗みの腕もさることながら、針を獲物にして相手を「めしい」に仕立て上げるかなりの使い手であるという。名捕り手である金九齢から依頼を受けた陸小鳳は、繍花大盗を捕らえるべく動き出したのだった。
 シリーズ第2弾。冒頭からあいかわらずのハイテンションで、武林に名高い使い手がいきなりこの繍花大盗の餌食にあう。しかも武器といい、その武器の使い方といい、この繍花大盗が敵役としてキャラが立っており、のっけから作品世界に引き込まれる。しかもそこから陸小鳳による繍花大盗の探索が始まるわけだが、これがまた面白い。怪しいやつらが次々と出てきてこいつこそ繍花大盗だ、と思わせておいて実は違う――いわゆる犯人探しだけで物語りは二転三転する。それどころか、陸小鳳にぞっこんのツンデレ少女まで登場し、この探索行に彩りを添えるのだ。最後に判明する繍花大盗の意外な正体、そして陸小鳳と薛氷の恋の行く末。物語を支えるこの二つの要素の吸引力はすさまじく、ひとたび巻をめくれば最後を見届けることなくページを閉じることはかなわないだろう。面白い!