本書を発表して以降、なんら音沙汰もなく
*1「作者が消失」などと長いことネタにされていた作品。なお、近々復刊されるので、このネタともおさらばすることに。物語は三つのパートに別れて進んでいく。ア
マチュアバンドグループ内で起きたアイドル的存在・マリーの死を巡るパート、未亡人裕子の心の支えである裕二の死を巡るパート、ブティックを頻繁に訪れる純の死を巡るパートだ。いずれの事件も被害にあったのは
赤毛の持ち主であり、そして犯人及び死体の消失が問題とされていた。被害者を結ぶ
ミッシングリンクを結ぶ意外性、そしてそこから導き出される真相は驚愕。ここで用いられた手法は
新本格初期のころによく見られ、かつ現代でもそれなりに用いられる類のもので
新本格系の流れにあるミステリを好む読者にはお勧めである。