2006年4月購入。1年5ヶ月の放置。古代
アトランティス大陸を舞台とした、頻発する
地震やそれにともなう
津波など天変地異が相次ぐ世界を救うとされる「世界の相」の持ち主
ティーエとその仲間たちの物語。物語の早い段階で世界が滅び行くことへの危機は提示されており、巻が進むにつれてその危機感は徐々に高まっていく。同時にそれを救う使命を負わされている
ティーエの成長も丁寧に描かれており、この二つのベクトルの交わったところが完結編の本書ということになる。壮大なテーマを扱っており、また、主人公たちの行動範囲が数国に及んでいる割には展開は意外に地味である。なぜなら世界を救うというテーマの根底が「祈り」という副題にあるように精神的なものに基づいているからだ。そして根底部分を精神面を据えた結果、物語的には主人公の精神的成長・成熟が世界を救う重要な要素になりうるという構造をもたらしており、成長小説としての色合いを濃密にすることとなった。
ドラゴンマガジン創刊当初から連載されていた、すなわち
ライトノベル草創期を代表する大河ファンタ
ジーの完結編ということで当初からの読者にしてみれば感慨深いものがる。