フレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』

 2005年10月購入。1年10ヶ月の放置。はるか遠い宇宙のとある惑星からとある田舎の小さな駅と、さまざまな舞台を用いて一風変わった短編を作り上げている。中にはサーカス小屋を舞台としながら世界の危機を救うところまでスケールが広がる話もある。いずれの作品もオチのつけ方、そしてそのオチまで話を運んでいくテクニックが達者で、とにかく読ませる。表題作は裏の裏のそのまた裏の……と、ひとつの設定を何度もひっくり返しいく話なのだが、一人称で終始緊張感を維持させて決して読者に油断をさせずにおきつつも、不意をついたものを材料にきっちりとオチをつけてみせる。一読すればクセになる作家だ。