倉阪鬼一郎『田舎の事件』

田舎の事件 (幻冬舎文庫)

田舎の事件 (幻冬舎文庫)

 2003年6月購入。4年1ヶ月の放置。タイトルどおり、田舎で起きた事件の数々を描いた短編集。田舎の田舎たるがゆえの弊害・短所――都会に対するコンプレックス、及びそこから生まれる見栄、ムラビトに対する下世話な興味や度を越したおせっかい――をユーモアたっぷり、というよりも小バカにするような視点で見据えた上で、スラップスティック風のストーリーを展開する。また、収録作の何篇かには「ミステリ小説で用いられたトリックを実際に利用して完全犯罪をもくろむものの、あっさり失敗する」という話があり、そこで見られる本格ミステリで用いられるトリックに対する皮肉な視線などは、ミステリ読みからしてみると自虐的でM心*1をくすぐられる。

*1:別に本質的にマゾである必要はない。