伊坂幸太郎『チルドレン』

チルドレン

チルドレン

 収録されている五つの短編で中心的に描かれるのは、陣内という破天荒な男。彼は家裁の少年犯罪の調査官の職に就くのだが、そこでの話、あるいはそれ以前の話が描かれている。タイトルにあるように現代の子どもたちのあり方――特に少年犯罪について扱っているのだが、陣内のキャラクターゆえか、さほど重々しさはない。先行作『重力ピエロ』や『アヒルと鴨のコインロッカー』が重たい問題を真正面から取り上げて読者にがっつりとした手ごたえを与えるのに比べると、そういった印象点は低いが、ストーリー運びは巧いのでさっくり読める。