山口雅也『PLAY』

PLAY  プレイ

PLAY プレイ

 2004年9月購入。2年8ヶ月の放置。収録されている4つの短編はいずれも何らかの遊戯に絡んだストーリーとなっている。優れた外科医とその妻子による「ぬいのファミリー」はぬいぐるみ、「遊戯王」さながらの闇のゲームが展開する「蛇と梯子」ではボードゲーム、ネット仲間によるオフ会での事件をつづった「黄昏時に鬼たちは」では隠れ鬼、現代的若者を象徴するかのような少年が主人公の「ゲームの終わり/始まり」ではテレビゲームといった具合だ。そしてそういった遊びを材料に描いたいずれの作品も裏には家族問題というテーマを内に秘めている。夫婦の不仲、あるいは非行に走る少女、あるいは引きこもり問題……そして両者を絡めた物語に待ち受けているのは家族崩壊。題材の扱いからいって全うな落とし方で、かつ遊戯という要素をうまく絡めているのでそれなりに読めるのだが、もう一ひねり欲しかったところ。