小路幸也『高く遠く空へ歌ううた』

高く遠く空へ歌ううた (Pulp‐town fiction)

高く遠く空へ歌ううた (Pulp‐town fiction)

 感情がまったく顔に表れない少年・ギーガン(片目が義眼のためにつけられたあだ名)はなぜか死体をよく発見する。先輩の柊さんたちと死体に関することを検討していた彼は、怪しげな男の存在に思い当たる。

 前作と同様の世界観を用いて作られた作品で、その前作同様ノスタルジックな雰囲気が売りになっている。今作ではそういった雰囲気作りにたくさんの登場人物――ギーガンの友人たちが駆り出されており、うまく機能していると思う。感情を表すことがないという主人公の設定を活かす演出は常道であるが、もっとあざとくてもよかったようには思う。