島田荘司『ネジ式ザゼツキー』
- 作者: 島田荘司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/10
- メディア: 新書
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いわゆる本格ミステリの楽しみは大まかに二通りに分かれると思う。ひとつは綿密に張り巡らされた伏線をもとに推理を組み立てていくもので、その論理の緻密さに首肯させられるようなもの。もうひとつは緻密さはさほどではないものの、論理を大胆に飛躍させることによって思いもよらない驚きをもたらすもの。島田荘司は後者に属するタイプの作品をものする作家で、奇想ぶり、そしてその奇想を表現する筆の力強さは圧倒的だ。本書も、ともすれば強引ともとれる論理展開でありながらも奇想を鮮やかに解体しており、その手際には引き込まれるものがあり実に魅力的だ。