セバスチアン・ジャプリゾ『シンデレラの罠』

シンデレラの罠 (創元推理文庫 142-1)

シンデレラの罠 (創元推理文庫 142-1)

 「私」はこの事件における「探偵」であり「証人」であり「被害者」であり「犯人」でもある――という本格ミステリ好きが身もだえして喜びそうな惹句で有名な作品だが、むしろ本質は記憶喪失になった「私」はいったい何者なのかを探るサスペンス性にあるのだと思う。