ジョン・ホーガン『続科学の終焉 未知なる心』

続・科学の終焉(おわり)―未知なる心 (Naturaーeye science)

続・科学の終焉(おわり)―未知なる心 (Naturaーeye science)

 2000年4月購入。6年10ヶ月の放置。前作『科学の終焉』はさまざまな分野の科学者たちのインタビューをとりあげ、「ニュートン万有引力」や「アインシュタイン相対性理論」、「ダーウィンの進化論」のような我々の認識を根本からゆるがせるような大発見は今後はありえないだろうという論旨で結ばれていた。それに対し本書は科学にとっても未知の領域たる脳・心にスポットを当て、この分野に関しては大いなる発展がありうるのではないか、という観点のもと前作のように当該分野の科学者にインタビューを試みるという体裁をとっている。結果として、脳や心は未だ謎に包まれたままでフロイト時代から比べて大きな進捗は見られないし、近い将来この傾向が大きく代わることもないだろうと結ばれている。神経科学や精神分析学、遺伝子科学に人工知能といた広範な分野におけるインタビューは非常に興味深く、理系オンチで詳細は深く理解できない私のような人間でも十分に楽しめる1冊。なお、原題は"THE UNDISCOVERED MIND"で副題の「未知なる心」が該当する。邦題のメイン「続科学の終焉」は前作を受けての命名だろう。したがって「終焉」という響きから思い浮かべるセンセーショナルなものを求めて本書に向かい合った場合、違和感のみが生じかねない結果となるので注意。