東川篤哉『完全犯罪に猫は何匹必要か？』

完全犯罪に猫は何匹必要か? (カッパ・ノベルス)

　２００３年８月購入。３年半の放置。回転寿司チェーン「招き寿司」のオーナーが殺害された。現場は自宅のビニールハウスで、過去にも迷宮入りした殺人事件の起きたことのある場所だ。被害者から猫探しの依頼を受けていた名探偵・鵜飼杜夫は依頼を遂行するかたわら殺人事件にも首を突っ込んでいくのだが……
　依頼された仕事は猫探し、殺害トリックも猫、そして動機も猫という前編猫づくしの本格猫ミステリ。シリーズ恒例の登場人物のドタバタ劇は、ともすれば寒々しくて目も当てられなくなるようなコミカルなやり取りになってしまうところだが、地に足が着いていてさほど寒さを感じさせずいまや堂に入った感が強い。