島田荘司『切り裂きジャック・百年の孤独』

切り裂きジャック・百年の孤独 (文春文庫)

切り裂きジャック・百年の孤独 (文春文庫)

 2006年10月購入。4ヶ月の放置。現今知られている「切り裂きジャック」事件の詳細をヒントに当該事件の犯人を作者なりに指摘して見た作品。ただ、それだけのみならず百年後の現代に切り裂きジャック事件とそっくりの事件が起きたという設定を持ち込み、探偵のクリーン・ミステリが二つの事件を解決してみせる。現代の事件が進行する章と章の合間に元祖切り裂きジャック事件の詳細描写を挿入するという構成をとっているのだが、作者の筆力とあいまって臨場感を高めてくれる。ページ数のわりに読み応えは抜群だ。